わきがのメカニズムについて
目次
急に脇のニオイが気になりだしたとき、身近にわきがの人がいると「わきががうつったのでは？」と心配になるかもしれません。わきがはうつるものではないものの、わきががうつったと勘違いするパターンや、たまたま自分もわきがを発症したというパターンはありえます。この記事では、わきががうつったと思い込む理由やカラクリ、治療方法まで解説します。
わきがは人にうつらない
間違いなく言える結論として、わきがが人にうつることはありません。わきがは体質であり、ウイルスや細菌によって引き起こされる病気ではないからです。たとえば、身近に汗をかきやすい体質の人がいても、汗っかきな体質が周囲の人にうつることはありませんよね。同じように、身近にわきがの人がいたとしてもうつることはありません。わきがが発症するメカニズムや時期について理解すると、わきががうつるものではないことがより深く理解できるでしょう。
わきがのメカニズム
わきがは、タンパク質や糖質などを含む汗が皮膚にいる細菌によって分解されることで独特のニオイを発します。タンパク質や糖質などニオイのもとになる成分を含む汗は、アポクリン腺という汗腺（汗を分泌する場所）から分泌され、アポクリン腺が多い人はわきがになりやすいといえます。また、エクリン腺という汗腺から出る汗がアポクリン腺から出る汗を広げ、ニオイをより強く拡散することもあります。アポクリン腺やエクリン腺の多さは人によって異なるため、わきがはうつるものではなく、個人の体質によっておこるものだといえます。
わきが発症の時期
思春期にわきがを発症することがあります。アポクリン腺の働きは、性ホルモンの影響を受けることから、第二次性徴期のころから活発になります。思春期の方で、急に脇のニオイが気になり出した場合は、うつったのではなくアポクリン腺のはたらきが活性化してわきがを発症したと考えられます。
わきががうつったと思い込むパターン
日常生活では、わきががうつったと思い込むパターンもあります。実際にわきがになったわけではないのに、これから紹介するパターンで「わきがになった」と勘違いしていないか思い返してみましょう。
衣類の貸し借り
わきがの人が着用してニオイが残った衣類を着ることで、自分の脇が臭っていると思い込むパターンです。ニオイを発しているのはあくまで衣類であり、自分の脇が原因ではないことも多くあります。
洗濯や保管が一緒
わきがの人の衣類と一緒に洗濯をしたり保管をしたりすると、他の衣類にもにおいが移ることもあります。衣類の貸し借りと同様、ニオイの原因は衣類であり、わきががうつったわけではありません。
体温計の共同利用
わきがの人が脇に挟んだ体温計をそのまま使うと、ニオイがついてわきががうつったと勘違いすることもあります。体温計についたニオイが原因であり、体温計を共同利用してもわきががうつることはありません。
わきがのセルフチェック方法
自分がわきがを発症したのではないかと感じるときは、以下の方法でセルフチェックをしてみましょう。
- ティッシュやガーゼで確認
- 脇にティッシュやガーゼを5分ほど挟んでニオイを確認します。自分でにおっていると思う場合は、医療機関で第三者に判定してもらいましょう。
- 衣類の脇部分の色を確認
- わきがの人は衣類の脇部分が黄ばみやすくなります。アポクリン腺から出る汗に含まれる色素成分が多くなるためです。
- 耳垢が湿っているか確認
- 耳垢が湿っていると、ワキガである可能性が高くなります。耳垢が湿っている人の80％程度がわきがといわれています。
わきがうつったとしか思えない理由とカラクリ
わきががうつったとしか思えないと感じてしまう人もいるかもしれません。実際にうつるわけではないのに、うつったと思う理由とカラクリについて解説します。
家族から遺伝した
家族にわきがの人がいると、一緒に住んでいるからうつったと感じるかもしれません。実際にうつることはありませんが、遺伝した可能性は考えられます。両親のうち片方がわきがである場合は50％程度、両親ともわきがの場合は75％～80％程度の確率で子どもにわきがが遺伝するといわれています。
ある日突然わきがになった
いままで感じなかったニオイを急に感じるようになると、誰かからうつされたと感じるかもしれません。しかし、実際は「ニオイが強くなって気づいた」「普段気づかなかったニオイに気づいた」ということから、わきがの発症を自覚することもあります。
- 成長とともに発症した
- 性ホルモンの影響をうけたアポクリン腺が活性化し、ニオイのもとになる汗が増えたことが原因と考えられます。
- ニオイが強いものを食べた
- にんにくやたまねぎなど、ニオイの強いものを食べることで普段よりも汗のニオイがきつくなることもあります。
- ストレスや疲労
- ストレスや疲労で自律神経が乱れ、汗の量が増えることでニオイが強くなることもあります。
- ホルモンバランスの影響
- 普段は気にならないニオイでも、ホルモンバランスの影響でニオイに敏感になることがあります。
わきがになったときの対処法
わきがを発症した場合、思春期の一時的なわきがを除くと自然に治ることは残念ながら期待できません。わきがになったときの対処法を紹介します。
病院でわきが治療を受ける
病院では、塗り薬から手術までさまざまな治療法が提供されています。一部の治療は保険適用で受けることができます。
手術
剪除法（せんじょほう）と吸引法という2種類の方法が主流です。アポクリン腺を取り除く剪除法は治療効果が高く、再発しにくい治療法といえます。保険適用で受けられます。
マイクロ波（ミラドライ）
マイクロ波を使って汗腺を熱して破壊する方法です。切らないわきが治療として注目を集めています。
ボツリヌス注射（ボトックス注射）
ボツリヌス菌が生成する成分を注射してエクリン腺を麻痺させ、汗を抑えることでわきがを改善する方法です。一定の基準を満たす患者さんは保険適用で受けられます。
外用薬（エクロックゲルや塩化アルミニウム溶液）
汗をおさえる塗り薬を塗ることでわきがの改善を図ります。多汗症の患者さんはエクロックゲルが保険適用で処方できます。
セルフケア
病院での治療を受ける前までにできることや、治療後に再発させないための生活習慣を身につけるようにしましょう。
- ニオイを強める食べ物を控える
- わきがでない人もニオイの強い食べ物を食べるとニオイが気になることがあるため、にんにくなどのニオイの強い食べ物は控えましょう。
- ストレスや疲労をためない
- ストレスや疲労をためないようにして自律神経の乱れを防ぎましょう。
- 常に清潔を心がける
- かいたあせをそのままにせず、汗拭きシートなどで清潔を保ちましょう。
- 脇毛脱毛
- 脇毛をなくすと蒸れにくくなり、ニオイの軽減を実感される方が多いようです。
わきが治療を検討するときのポイント
効果的なわきが治療を受けるために、治療法や病院の選択を慎重に行ないましょう。わきが治療を受けるときに検討したいポイントを紹介します。
症状に合った治療法を選ぶ
わきがの度合いによって最適な治療法を選ぶ必要があります。重度のわきがの方に剪除法（せんじょほう）手術以外の治療法を行なっても、効果がはっきりと感じられない可能性があるためです。
再発が少ない治療法を選ぶ
わきが治療を受けても再発する可能性はあります。脇にアポクリン腺が残っていると、再度活性化することがあるためです。医師が目視でアポクリン腺を除去する剪除法といった、再発の可能性がなるべく少ない治療法を検討するとよいでしょう。
実績豊富な病院を選ぶ
最適な治療方法の提案や手術は、医師の経験によって結果が変わってくるところです。とくに手術を行なう場合は、経験豊富な医師が手術を行なうことで、再発する可能性をより低くすることが可能です。わきが治療の実績が多い病院を選びましょう。
ドクターミナガワ渋谷整形のワキガ治療
当院では重度のわきがでも完治が期待できる「剪除法（せんじょほう）手術」を提供しています。保険適用の日帰り手術です。1953年より、のべ2800名超と実績豊富です。院長が執刀します。傷跡が目立たなくなるように手術するため、傷跡が不安という方もぜひご相談ください。手術に抵抗がある方には、ボツリヌス注射やエクロックゲルによる治療も対応可能です。まずはわきがの状態を確認させていただき、患者さんに合った治療法を提案いたします。
まとめ
わきがはうつりませんが、衣類の貸し借りでわきがになったと勘違いするパターンや、親からの遺伝・急な発症で「うつった」と感じることもあるかもしれません。本当にわきがを発症したとしても、治療により改善が可能です。気になるのであれば、病院でわきがかどうかの診断をしてもらうとよいでしょう。実績があり、効果の高い治療法を提供している病院に相談すると、自分に合った治療法を提案してもらえるはずです。
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